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Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

二

木崎の顔は憂愁の翳が重く澱んで、いらいらと暗かった。が、何を思ったのか、急に起ち上ると、木崎は階段の中程に突っ立った。

そして、陽子へ向けたライカのシャッターを切った途端、一人のダンサーが声も立てずに、いきなり床の上へ崩れるように、倒れた。

二

まるで、わざとのような偶然であった。

木崎のライカがカチッとシャッターの音を立てたのと、そのダンサーの体が崩れるように床の上へ倒れたのと、殆んど同時――というより、むしろ、シャッターの音が防音装置のピストルのかすかな音のように、彼女を倒した――と言ってもいいくらいだった。

木崎も驚いたが、客もダンサーも、そして楽師もあっと思った。

バンドの調子は、いきなり崩れた。

一階のホールの正面の演奏台ではスウィングバンド、二階の廊下から突き出したバルコニー風の演奏室にはタンゴバンド――この二つのバンドが交替で演奏するのだが、丁度その時はタンゴバンドの番だった。

曲はクンパルシータ。

みんな知っている曲ゆえ、一層その崩れ方が判った。が、楽師はあわてて調子を取り戻した。昨日までいてよそのホールへ引っこ抜かれたバンドの代りに、今夜から新しく雇い入れられたバンドだった。