Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

七

「兄ちゃん、まだア……? はよ行こう!」

と、管理室へはいって来たのは、京吉にはもっけの幸いだった。

「よっしゃ。行こう」

行きかけて、ふと振り向くと、京吉の右の掌が、

「――おシンちゃん、おめえ、これだろう……?」

と、腹の上に半円を描いた。

「京ちゃん、判るの……?」

おシンはびっくりしたような眼を、くるくる廻していた。誰にも勘づかれなかったのにと、若いくせに女の体に敏感な京吉の眼が、気味悪くもあり、頼もしくもあった。

「困ってンだろう……?」

「はばかりさま。ちゃアんと父親は……」

「あるのよ」――と言いたかったが、誰だか判らず、おシンは坂野の細君にだけは、ひそかに打ち明けていた。坂野の細君もどうやらそれらしかった。祇園の方に、簡単に手術してくれる医者があるらしく、紹介してやると坂野の細君は言っていた。細君もおろす肚だったのだ。ところが、昨夜逃げてしまったので、おシンはもう諦めていた。

「月が早けりゃ、注射一本でも平チャラだよ。坂野さんに打って貰ったらいいよ。ねえ、おシンちゃん。そうしろよ」

坂野さんは注射薬なら何でも持っているからと、言って、京吉は、

「京ちゃん、たまにいらっしゃいよ」