Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
九
そして、その瞳が、
「あなたは今人殺しをしたのでしょう……?」
と、章三の心の底を覗き込んでいた。
美貌というものがもし生れつきのものであるなら、いかなる運命がこの女にそんな美貌を与えたのかと思われるくらい、その女は美しかった。そしてまた、美貌というものが才能であるならば、いかなる才能でこの女はこんなに美しく見えるのかと思われるくらいだった。
「おれはいま生れてはじめて、女と対決しているのだ!」
章三はその女の顔をじっと見つめながら、そう思った。
九
読者はこの物語の最初の小見出しが「登場人物」となっている理由を、もはや察したであろう。
章三が見知らぬ男をデッキから汽車の外へ突き落した現場を目撃していた女――これが新しい登場人物なのだ。章三の人生にとっても、またこの物語にとっても……。
さて、新しい登場人物が現れたのを機会に、作者自身をも登場させて、ここで二、三註釈をはさむことにしたい。
この物語の主人公は、ダンサー陽子であろうか、カメラマンの木崎であろうか、それとも田村のマダム貴子であろうか、そのパトロンの章三であろうか、またはかつてのパトロンの銀造であろうか、その娘チマ子であろうか、田村の居候の京吉が主人公だともいえるし、京吉を兄ちゃんと呼んでいるカラ子も主人公の資格がないとは言い切れない。