Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

五

おまけに、釈放されると、すぐ警察の草履を借りて清閑荘に会いに行き、その帰りは茉莉のアパートへ顔を出し、千葉の田舎から出て来た茉莉の肉親を慰めたり、葬儀の相談をしたりして、アパートへ帰ると、もう自炊する元気もないくらい疲れた体を、古綿を千切って捨てるように、夜具の上へ投げ出した途端に、もう夢の世界だった。

夢の中で、京吉と踊っていた。ぐっしょりと汗をかきながら、踊っていた――と思ったのは、しかし、ふと眼をさましてみれば、盗汗だった。半年近いホール生活で、すっかり体をこわしたのだろうか、こんなに盗汗をかいてるわ――と思う前に、なぜ京ちゃんと踊っている夢を見たのだろうと、何か自分でも思いがけぬ触感のリズムが伴う胸苦しい甘さの後味に驚いていた。

あたし京ちゃんと踊りたいのかしら、あたし踊りたい人なんかいなかったのに。そんな下品なこと考えてみたこともなかったのに。いいえ、夢にも思ったこともないのに。あたしは男の人と踊っても、ただ石になっていたのに。石には触感はない。あたしの触感があたしを裏切るなんて。あたしこんな下品さがあるなんて。おや、あの匂いは何だろう。