Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
三
雨はなお降りやまなかった。その雨の中を、京吉と芳子がちょうどその頃、三条から二条へ一つ傘で歩いていたのを、むろんカラ子は知らなかった。
三
黙々として、京吉と坂野の細君の芳子は歩いていた。何のために、そうして、まるで恋人同志のように、肩を並べて歩いているのか、京吉にはわけが判らなかった。
夕方、セントルイスの前で、祇園荘へ行ってグッドモーニングの銀ちゃんに会うという芳子を、拝むように停めたのは、祇園荘には芳子の亭主の坂野がおり、芳子がそんなところへはいって行けば、どんな結果になるかも知れない――という京吉の二十三という歳に似合わぬ老婆心からだったが、やっと芳子を説得してみると、もう芳子は、
「あたし、じゃ、どうすればいいの……?」
と、駄々をこねたように、動かない。動かないだけならいいが、道の真中で、
「――いいわ。あたし泣いてやるから……」
と、本当に泣いてやるからと本当に泣き出してしまいそうだった。
「女というものは、どだい男を困らせるように出来てやがらア。だから、おれきらいだよ」
京吉はスリのあとをつけて行ったカラ子のことも気になっていたし、芳子など放って置いて、逃げ出したかったが、もともと京吉は自分の女以外には優しく、お人善しで、それがまた京吉の孤独なあわれさであった。