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Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

三

ただ、帰れといわぬだけ、――いや、何一つ口を利かずに、ついて来るのに任せて、やがて、高台寺の道を清水の参詣道へ折れ、くねくねと曲って登って行くと、音羽山が真近に迫り、清閑荘というアパートが、森の中にぽつりと建っていた。

門燈の鈍い灯りのまわりに、しんとした寂けさが暈のように渦を巻いていて、にわかに夜の更けた感じだ。

木崎は遠くから指して、

「あそこだ、おれのアパートは……」

と、はじめて口を利いた。

「――君の家はどこだ。まさか、あの山の中でもないだろう。帰れ!」

「そんなン殺生や。こんなとこから……」

「怖くて帰れんのか。ついて来るのがわるいんだ。幽霊は出んから、走って帰れ!」

「おっちゃん、アパートでひとり……?」

うんと、不興気にうなずくと、娘はいきなり、

「ほな、うちも泊めて。――いや……?」

と、木崎の顔を覗き込んだ。汗くさい髪の毛がにおいと一緒に、木崎の鼻にふれた。

三

「いやだ!」

「そんなこと言わんと、泊めて!」

「…………」

「うち、帰るとこあれへんねン」

「どうしてだ……?」

「うち、家出してん」

「ふーん、なぜそんな莫迦なことをしたんだ」

「…………」

「帰るところはなくっても、泊るところはあるだろう。