Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

五

一つには、そんな場面をうつすことで、無意識のうちに、なぜか自虐的な、そして反撥的な快感があった。が、その理由は木崎自身にもよく判らない。

いつもは事務室にいる十番館のマネージャーは、たまたまその夜新しく雇い入れたバンドの演奏ぶりを見ようとして、ホールの中へ来ていたので、階段の木崎を見た途端、木崎が何をうつそうとするのか、すぐ判った。

「あ、困りますよ。こんなところを……」

うつされては……と、とめようとしたが、木崎は無我夢中でシャッターを切ると、ソワソワと階段を降り、何か憑かれたような大股でホールを横切って、姿を消してしまった。

あっという間もなかった。陽子もマネージャーも木崎を呼びとめる間もなかった。

いや、あっという間といえば、すべては一瞬の出来事だった。

その証拠に、茉莉の体がやがてボーイたちの手で事務室のソファの上へ、運び移された時は、まだクンパルシータの一曲は済んでいなかった。

五

クンパルシータの曲が終ると、ひとびとははじめて踊りを思い出し、ホールの騒ぎも冷淡に収まって行った。

マネージャーはすかさず、タンゴバンドをスウィングバンドに取り替えた。