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Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

五

――と、そんなことまで今陽子が想い出したのは、ちょうど陽子の隣りに膝をかかえて坐っている若い娘が、留置場の中へいつの間に持ってはいったのか、急に煙草を吸い出したからであろうか。

「姉ちゃん、一口吸わしたげよか」

浴衣をだらんと着たその若い娘は、陽子へ話し掛けて来た。チマ子だった。

五

「あたし……? いらないわ」

陽子が断ると、チマ子は吸い掛けの煙草を突き出して、

「遠慮せんでもええわ。はよ吸わんと、日本の煙草すぐ消えるさかい……」

留置されている娘とは思えなかった。

「いいのよ。あたし喫めないのよ」

「へえん……? 真面目やなア」

チマ子のその言葉に、陽子は微笑した。

実は田村へ行った時、春隆も同じような言葉を言った――それを、想い出したのである……。

「煙草いかがです。どうぞ」

「喫めませんの、あたし……」

「本当……? 真面目だなア」

そう春隆は言ったが、ビールの瓶は持って、

「――しかし、この方なら……」

「あら、いただけませんの」

「そうですか。じゃ、無理にすすめちゃ悪いから……しかし本当に飲めないんですか。少しぐらいなら……、飲むんでしょう……? 半分だけ……注ぐだけです。