Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
登場人物
一
を打って飛び出したのだが、銀造はその仲間にひき込まれながら――逃げ出してもどうせつかまって、罪が重くなるばかりだと、何か諦めていた。
だから、逃げ足は渋りがちだったが、銃声に身を伏せた拍子に、北山の捨てた財布が眼にはいった。銀造は素早くそれを拾うと、
「そうだ、これさえあれば逃げられる!」
淀屋橋の方へ通り魔のように走って行きながら、娘のチマ子の顔が頭をかすめ、京都へ行こう、京都へ行ってチマ子に会おうという想いの息を、ハアーハアーと重く吸っていた。
登場人物
一
中之島公園を抜けて、淀屋橋の北詰まで来ると、銀造は一緒に脱走して来た連中を見失ってしまった。銀造は梅田新道の方へ広々とした電車通りを走って行ったが、追われている背中には、その一本道は長すぎた。大江橋まで来ると、銀造はいきなり左へ折れた。そして、川沿いの柳の並木にかくれながら、渡辺橋の方へ走った。一人になると、さすがに追われている身は不安だった。
もっとも、財布を拾うまでは不安はなかった。追われる気持よりもいっそつかまった方が気が楽だと、脱走の意志は耳かきですくうほどしかなく、逃げられれば逃げたいという願いよりさきに、諦めが立っていた。