Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

五

今に見ろ――とは、だから、ただ陽子の居所をきくために、春隆をとっちめるという最初の目的から飛躍して、

「おれがこの汽車に乗ったことは、ただで済むまい」

春隆をもただで済まさないが、おれ自身もただでは済むまい。おれはもうサイコロを投げた――という、偶然への挑戦であった。

偶然といえば、貴子も春隆も、その車室の隅に章三がいることに気がつかなかった。章三の方からははっきり見えるが、貴子や春隆の方からは見えにくいという位置に、それぞれ坐っていた。

そして、貴子と春隆がそんな偶然を少しも感じずに、ピタリとつけたお互いの肉体からただ肉体だけを感じているうちに、汽車は山科のトンネルに入った。

五

「窓を少しあけましょうか」

トンネルを過ぎると、春隆は腰を浮かして窓の金具に手を掛けた。春隆の上衣の裾が窓側の貴子の顔に触れた。

「でも雨じゃないですか……?」

貴子は口にあてていたハンカチをはなしながら、分別くさい調子でゆっくりと言った。顔も体も声も若かったが、さすがにそんな言い方には、四十一歳という年齢がふと現れるのだった。

「あ。そうね」

と、春隆は例のいんぎんな調子で、腰を下したが、貴子のそんな言い方が何だか面白くなかった。