Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
六
その時、廊下に足音がして、
「木崎さん、只今ア!」
と、声が来た。
六
声ですぐ、隣の部屋の坂野という楽師だと判った。
ホールがひけて帰って来たのであろう。いつもより不健康に濁った声が、夜更けの時間と、肩に掛けたアコーディオンの重さをガラガラと無気力に響かせていた。
「あ、お帰り……」
と、木崎は頓狂な声を出したが、その声も何か浅ましくふるえて、不健康であった。
醜く昂奮していたのが判り、情なくなっていると、やがて、
「木崎さん、木崎さん!」
ちょっと来て下さいと、再び坂野の声がして、その頓狂な声も浅ましくふるえていた。マージャンに誘う声にしては、何かあわただしく取り乱している。
木崎はチマ子の枕元から起ち上って、キラッと光る素早い視線を背中に感じながら、
「どうかしたんですか」
と、坂野の部屋へはいって行った。
「女房が逃げました」
わりに上手な、しかし右肩下りの字で、置手紙があった。
「……ヒロポン中毒とは一しょに暮していけません……」云々。
ヒロポンは鎮静催眠剤とは反対に、中枢神経を一時的に刺戟して、覚醒、昂奮させる注射薬だが、坂野はもと「漫談とアコーディオン」