Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

七

銀ちゃんは通り掛った人力車を停めた。

「飲ませる所へ案内しろ。但しひでえボリ屋へ連れて行ったら、キャッキャッだよ」

一つの俥へ無理に二人乗りして、野郎の相乗りはキャッキャッだが、おめえいい尻つきをしてるじゃねえかと銀ちゃんは膝の上に坂野の体をかかえて、ふと幌窓の外を眺めた途端、雨の中を一人トボトボ歩いている女の姿を見て、おやっと思った。芳子だった。

七

思えば今宵の京都の雨は、わが主人公たちをふと狂気めかせるために、降っていたのであろうか。頽廃の土曜の夜よりも、彼等の心を乱れに乱れさせた日曜の夜の底を、泥ンまみれにかきまわす雨であった。

セントルイスの夏子も泥にまみれ、カラ子の京吉恋しさもただならぬ激しさであった。坂野も銀ちゃんも酒に乱れて行き、京吉の夜歩きも常規を逸していたが、今夜の陽子もいつもの陽子ではなく、妖しく胸騒いでいた。

そして、坂野の細君の芳子も何か狂気じみていた――その証拠には、折角京吉について行った陽子のアパートから、急に飛び出して、呼びとめる京吉の声を雨の背中に聴き残しながら、町角を走って折れたが、やがて気の抜けた歩き方に重くうらぶれていた。