Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
だ。
例えば、セントルイスには半日坐り込んでいる常連がいる。三条河原町のD堂という古本屋の主人など、自分の店に坐っている時間よりも、セントルイスの片隅に坐っている時間の方が多いのだ。
この主人の人生の目的は享楽にある。しかし、多くの金を要する享楽は、彼にとっては不愉快そのものだ。出来るだけすくない金で、出来るだけ効果的に楽しむことが、彼にとっては、真の享楽なのだ。彼はこの主義にもとづいて、毎日セントルイスでねばる。なぜなら、この店は場所柄先斗町あたりの芸者の常連が多く、それを見ていることが、彼にとっては目の正月であり、顔見知りの芸者を相手にいやがらせを言っておれば、お茶屋散財しているような気がするからである。むろん、芸者たちはいやな顔をする。が、どうせ金を使って散財しても、もてないことを知っているから、苦にはならない。色男を気取らず、見栄も張らず、けちで通った五十男らしいいやがらせを言っているのが、むしろサバサバしたたのしみであり、一杯十円の珈琲の高さが安くなるこの享楽にまさる享楽がほかにあろうか。京都人であった。
セントルイスはめったに満員にならない。