Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
そして、その相手は、もしかしたら銀ちゃんだったかも知れない。いや、そうにちがいあるまい。銀ちゃんは、まだ祇園荘にいるだろうか。
「ちょっと電話おかし下さいません……?」
芳子はいきなり夏子にそう言って、祇園荘へ電話を掛けた。
自動式ゆえ、どこへ掛けているのか、はじめはまるで見当がつかなかったが、
「もしもし、祇園荘さん……? そちらに……」
という芳子の言い方で、すぐそれと判った――途端に、京吉は、
「あれッ、こりゃいけねえ」
と、驚いて、芳子の言葉をさえぎるように、
「――だめ、だめ! いま掛けちゃいけねえよ。祇園荘、だれもいねえよ。いねえッたら!」
坂野もいるんだとは言いかねた見えすいた嘘でごまかしていると、
「京ちゃん、邪魔しないでよ」
京吉まで自分を銀ちゃんに会わすまいとするのかと、芳子はもう邪推のキンキンした声であった。
その時、例のスリが急に立ち上って、勘定を払うと、セントルイスを出て行こうとした。
「兄ちゃん!」
カラ子はじれったそうに、京吉の袖を引いた。
四
カラ子にうながされて、京吉はすぐそのスリのあとをつけて出ようと思ったが、しかし、坂野の細君の芳子の方へ、気は取られた。