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Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

八

お医者が来てるかどうか。ハバハバ行って見て来てよ」

そして、ホールを出て行った京吉の後姿を見送って振り向くと、眼の前に春隆が立っていた。

八

陽子は右の手のハンカチを左手に移して、

「…………」

春隆が差し伸べた手を握った。

それが春隆への、いや、自分に通って来るすべての客に対する、陽子のいつもの挨拶であった。

蓮ッ葉なダンサーのように、

「あーら。来たの」

と、いきなり飛びついて行ったり、ペラペラと喋ったり――そんなことは自尊心がさせなかった。ことに、東京の家を飛び出して、京都へ来た足でホールへはいった当座は、鉛のようにつんとしていた。貴婦人みたいに冷やかであった。美貌で品が良かったから、それがかえって魅力だと惹かれる客もあったが、たかがダンサーじゃないか、生意気なと、この頃は戦前にくらべると、ホールの柄も落ちていた。ダンサーの粒もまず気位からして下っていた。客を怒らせてはとマネージャーや先輩のダンサーが注意したくらいだった。

「じゃ、あたしよすわ」

注意されると、令嬢気質がいきなり頭をもたげかけたが、よしてしまっては生きる辛さに負けるようなものだと、やっと自分をおさえた。