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Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

ひとりひとりは独立の人格を持った人間だが、こうして群をつくっていると、もうそこから漂って来るのは、意志を失った一つの動物的な感覚のようであった。

人々は彼等の傍を通り抜けながら、ふと優越的な気持が同情に先立つらしく、さげすみの眼をちらと投げて行ったが、北山の眼はそんな旅行者が羨ましい眼付だった。

何もかも投げ出して、旅行者の中へもぐり込み、どこか見知らぬ土地へ行ってしまいたかった。うずくまっている旅行者の一人と、ふと視線が合った。何だか見覚えのある顔だった。

「…………」

北山は半泣きの顔に弱々しい微笑をうかべて、何か言いかけようとしたが、その時駅員が前方からやって来た。北山ははっとして顔をそむけると、固い歩き方で通路を抜け、省線のプラットの方へ階段を降りて行った。駅員の服装が警官のそれに見えたのだった。

女に会うという期待の下へ消していた「おれはスリを働いた」という悔恨の火が、会えずに帰る北山の背中に執拗に迫り、それを振り切って逃げようと焦る行手には、恐怖が怪獣のように立ちはだかり、ペロペロと法律の赤い舌を出しているのだった。

大阪行きの省線はすぐ来た。