Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
つい四五日前までは夏のようであったが、町中のお寺の前の暗がりにふと金木犀のにおいを光らせて降る雨は、はや一雨一雨冬に近づく秋の冷雨だった。
ぶるッと体をふるわせて、カラ子は四条通りの交叉点を河原町通りへ折れて行った。
背中のくぼみや腋の下まで、びっしょりと雨に濡れながら、なおさまよっているのは、京吉を探したい一心からであった。
今日の夕方、京吉の財布を掏った北山を大阪の中之島公園までつけて行って、首をしめられそうになったが、拘置所の脱走さわぎのドサクサで危く助かった。ほっとしたものの、しかし、同時に北山を見失ってしまうと、もうカラ子は京吉に会わす顔のない想いに、がっかりしてしまうのだった。
自分ひとりの力でスリをつかまえて、京吉にひき渡す時の喜びの期待に燃えて、チョコチョコ大阪までつけて来たのだが、今はその喜びも空しく、京吉のいる京都へトボトボ帰って来た足は、雨に濡れた心のように重かった。
しかし、京都へついたその足でセントルイスへ来てみると、むろん京吉はいなかった。マダムの夏子も、誰かとアベックでリベラルクラブの発表会へ行ったのか、店にはいなかった。