Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
アパートの中庭の金木犀の花が、雨に濡れて匂っていたのだ。その匂いをふっと甘く感じた途端に、再び陽子は眠りに落ちていた。
浅い眠りのその中で、陽子はまた踊っていた。京吉と踊っていたのだが、耳の傍で自分の名を呼んでいるのは、木崎だった。木崎と踊っているのだった。
はっと眼をさますと、部屋の外で声がしていた。京吉の声だと思った途端、ほのぼのとしたなつかしさがふっと胸に来たが、しかし、
「ねえ、泊めてくれよ。ねえ」
という、いつもの声に、思わずその胸をかき合わせていた。
「駄目よ。約束がちがうわよ」
「そんなこと言うなよ」
と、部屋の外の声が言った。
「だって土曜日だといったじゃないの」
土曜日には泊めてあげる――と、はっきり約束したわけではなかったが、それを言った。
「だって、おれ泊るところねえんだよ。おれ一人じゃねえんだよ。二人だよ。女と一緒だよ。泊めてくれよ」
「あたし帰る」
芳子は何思ったのか、急に階段を降りかけた。
「あッ、芳ッちゃん、待ってくれよ。ねえ、芳ッちゃん!」
その頃四条河原町の雨の中を、二人の男がぐでんぐでんに酔っぱらって、肩を組みながら、よろよろと歩いていた。