Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

十

いい形の耳だ! 春隆は耳の形の悪い女には、魅力を感じない男だった。

「東京へ……?」

何をしに行くのか、このことを誰かに喋りに行くのか――という眼で、陽子は見たが、春隆はわざとそれには答えず、

「当分会えませんね。一度ゆっくりこのことで語りもし、相談相手にもなろうと思ったんですがね。まず今夜しか機会はなさそうですね」

その時、アロング・ザ・ナバホ・トレールの曲が終った。春隆は早口に畳みかけて、

「――今夜はしかし僕田村へ行ってます。木屋町四条下ル。田村と赤い提灯が出ている料理屋です。ホールが引けたら、いらっしゃい」

きっと待っていますよと、言ったかと思うと、返辞も待たず、あっという間にホールを出て行った。

陽子は京吉の傍へ人ごみを抜けて行った。

「茉莉は……? お医者様来た……?」

「来た。来たけど……」

京吉は急にわざとらしい京都訛りになって、

「来たけんど、手おくれどすわ」

「じゃ、茉莉やっぱし……?」

「青酸加里! 茉莉ばかだなア!」

十

陽子はボロボロ涙を落しながら、事務室へかけつけた。

うるんだ視線に、白い布がぼうっとかすんで、しかし、なまなましく映った。