Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

その布の下に、茉莉の蝋色の顔があった。

近づいてみると、薄い上唇の真中に、剥げ残った口紅が暗い赤さに乾いていた。唇のまわりには、うぶ毛が濃かった。

それが、顔を剃る気にもなれなかった茉莉の、昨日今日の悩みをふと物語っているように思われて、また涙をそそり、陽子はいつまでも放心したように佇んでいたが、やがて、ふとわれにかえると、隣の部屋で警官に調べられているらしい京吉の声が聴えて来た。

「……クンパルシータを踊ってたんです。すると茉莉が、京ちゃんのリードでクンパルシータで死ねたら本望だわと言ったので、なぜだいとききましたが、だまってました。するうちに、茉莉の顔色が急に変ったかと思うと、真青になってぱったり倒れたんです」

「何か口の中へ入れる所は見なかったか」

「入れる所は見なかったけど、何だかモグモグしていたようです。茉莉はチュウインガムをしゃぶったり、仁丹をたべたりしないと、口がさびしいというダンサーでしたから、おかしいとは思わなかったけど、今から思うと……」

踊る前から、青酸加里のはいったカプセルを口の中に入れて置いて、噛みきったのか。

やがて警官は、京吉に茉莉との関係をきいたが、何でもない仲だと判ると、二三人の事務所関係の者につづいて陽子にも訊問した。