Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
を売物に舞台に出ていた頃から、この味をおぼえたらしく、煙草を吸うように、ひんぱんにこの劇薬を注射していて、その量と回数は、さすがの木崎もあきれていた。木崎があきれるくらいだから、坂野の細君は、
「十本入り二十三円でしょう。それを二箱も打つ日があるんですから、たまりませんわ。ヒロポン代だけでサラリーが……」
飛んじゃいますわと、こぼしていたが、到頭逃げてしまったらしい。――米よりもまず注射薬を買い、米は買えなかったのだ。
「畜生! ひでえアマだ。(あなたは坂野医院の看板を出して、毎日注射して幸福にくらして下さい)か。ばかにしてやがる。いや、手紙よりも、木崎さん、一寸これ見て下さい」
細君が出しなにたたき割って行った買いだめの注射薬のアンプルのかけらを、坂野は見せ、土色の顔を一層土色にして、ふぬけていたが、やがてエヘッと笑うと、
「印籠みたいなもンでさあ」
と、ポケットからヒロポンの箱を出して来た。
「――これだけは肌身はなさず。エヘッ……。これがないと、アコーディオンも弾けませんや。何はともあれ……」
まず一本……と、二CC、針のあとだらけの腕に打って、ペタペタたたいた。