Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

みるかげもなく痩せ衰えて田村を頼って来た父親を見ると、チマ子は喜ばぬ貴子の分まで喜んで、あいた部屋へ泊めた。が、ある夜銀造は貴子に挑んだ。貴子は冷酷にはねつけて田村を追い出そうとすると、銀造の方から飛び出したが、一月のちには、どんな罪を犯したのか、大阪の南署から検事局の拘置所へ送られていた。チマ子は差し入れに行った。貴子はきびしく叱りつけ、銀造を見る眼は赤の他人以上に冷たく白かった。チマ子は家出した。

浴衣に兵児帯、着のみ着のままで何一つ持たず飛び出したのである。環境のせいか、不良じみて、放浪性も少しはある娘だったから、貴子は箱入り娘の家出ほど騒がなかったが、しかしひそかに心当りは探してみた。そして空しく十日たっている……。

と、そんな事情をありていに章三に言ったものかどうか。貴子は素早く浴衣をひっ掛けて、

「チマ子お友達と東京よ。芸術祭とか何とかあるんでしょう。気まぐれな子だから……」

困っちゃうわと、東京弁で早口に言うと、章三は、

「ふーん。東京ならおれも行けばよかった。――いや、用事はあれへん。ただ、あの子と行くのがたのしいんや。どや、あの子おれにくれんか」