Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
お雪ちゃんは必死になって、今、まざまざ見た、棺の蓋の外れのあのイヤなおばさんの死面のまぼろしを掻き消そう、掻き消そうとつとめたけれども、これはどうしても消すことができません。
いっそ、先生に、洗いざらいブチまけてしまえば、いくらか頭が休まるかと思いましたが、それをこらえていればいるほど、イヤなおばさんの幻像が、自分の息を詰まらせるほどに圧迫して来るのを、どうすることもできません。
横になってしまって、必死に息をころしながら、お雪ちゃんはまるくなりました。
「どうかしましたか、お雪ちゃん」
久助さんが、軽く見舞の言葉をかけると、
「いいえ」
と打消して、わざと元気に起き直って見せましたけれども、その面の色ったらありません。幸いにして久助だから、別段に面の色が悪いともなんとも怪しまなかったので、これをしおに、無暗に働いて見せました。
そうして、その晩のうちに相応院へ引きうつるように、一切の準備をととのえたけれども、お雪ちゃんとしては、何をどうしたか夢中でありました。
ただ、あの雑草の中の存在物をば、一切思うまい、見まい、として急いだだけのものでした。
ひっこしは夜でした。