Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
「まだ、立てねえのかい」
「もう、大丈夫でございまっしゃろ」
「大丈夫でございまっしゃろはいいが、立てねえじゃねえか」
「はい、はい」
「ちぇッ、そら、爺さん、手をとってやるよ、威勢よく起きねえ」
と言って、がんりきは、その手首をグッとひっぱって、いくらか包んで、屑屋の手に持たせ、ようやく起してやり、
「さあ、先へ立って案内してくんな」
要領を得て、怖々ながら、屑屋の老爺が立ちかけたが、またぺたりと腰を落し、ワナワナと慄え出して、
「あっ! あっ!」
といって指さしをして、その手でがんりきの合羽の裾を激しく引く。
五十六
「世話の焼けた老爺さんだ」
がんりきは、骨無し同様な、老爺の腰の抜けっぷりに愛想をつかし、こんな度胸で、火事跡荒しに来るなんて、全くふざけた老爺だと思って、蹴飛ばしてやりたくなったのを、そうもならず、ぜひなく老爺の指さした方を見ると、こんどはがんりきがゾッと立ち尽してしまいました。
「お化け……」
老爺は指差しをしたまま、二度目に腰を抜かして、ヘタヘタと坐り込んでしまっている。
その指さきの示すところを見ると、ほぼ十間の彼方の同じ焼跡の中に、すっくと立って、こっちを見ている一つの黒い人影があるのです。