Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

甘ったるくて、妙にかさにかかるような言いぶり、こちらがあわてていたから、その場で声の吟味までは届かなかったが、今、耳の底から取り出してみると、お絹でなければ、あの声は出ないように思われて仕方がない。

だが、いくらなんだって、そんな事は有り得ることではない。あの女はあの女だけのものだが、いくらあの女だって、自分が今晩、ここに遊んでいるということを知りながら、ここに泊りに来るはずもあるまいではないか。

もしや、自分の行動をよそながら監視に来て、泊り込んだものでもあるか。それも馬鹿正直な見方だ。第一、あの女が、こちらから監視をつける必要こそあれ、おれの遊びにいちいち、眼をはなさないほど、こっちを重んじているか、いないか。

偶然――おれがここへ泊ったのが偶然なら、あの女がここへ泊り込んだのも偶然だ、偶然の鉢合せとしたら、議論にはならないが、事柄はいよいよ妙じゃないか。第一、おれの偶然の方には、偶然たるべき理由があるが、あいつには何の理由がある。

あいつは、今日、異人館を見に行ったのだ。朝から出かけたから、晩までには当然、根岸へ帰っていなければならないのだ。