Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
十五
傍へよって落したものを見ると、それは金唐革の香箱でした。
「やれやれ、かわいそうなことをしたわい」
白雲が大事に拾い上げて見ると、箱の中には、鼈甲の櫛笄だの、珊瑚樹の五分玉の根がけだのというものが入っている。
あの娘が、後生大事に抱えて来たものだ。
風呂敷へも、籠へも入れず、こうして持って歩いたのは、途中も嬉しいことがあって、時々、取り出してはながめ、取り出してはながめずにはおられない理由というほどのものがあって、自然に下へは置けなかったのだろう。
あちらの町から買って、こちらの村へ戻るの途中というよりは、あちらのおばさんなり、姉さんなりというものがあって、それが、今まで秘蔵していたこの品を、仔細あって、あの娘に譲ってくれたものではないか。それは、かねての長々の約束であったか、或いは一時の話のはずみから出来たのかも知れないが、今日という日に、この品が確実にあの娘の手に落ちたので、それを持ち帰る途中、嬉しくって、幾度も幾度も取り出してはながめ、とり出してはながめ、ここへ来ては、その嬉しさが鼻唄となって、宙にかかえ込んで来たところへ、雲突くばかりの男が出て行手をさえぎった! それまでの光景が、白雲の眼に、手にとる如く映って来たので、いよいよ罪なことをしたものだと思いました。