Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

清澄の茂太郎は、登に対して兄さん気取りで子守役に当り、やたらに得意の出鱈目をうたって聞かせる。七兵衛はその間に立廻っての肝煎役――それから駒井を真中に、一同が食卓についてからその賑やかさというものは、今宵限り立って行く名残りのことも、明日は海を渡って見知らぬ遠方に行くという念慮も、すっかり忘れてしまって、石女も舞い、木人も歌い、水入らずの極楽天地であります。

こうして、すべてが泰平の和楽に我を忘れて興じ合っているのを見て、当然これに捲き込まれた七兵衛が、急になんだか物悲しくなってたまらなくなりました。この老幼男女が打群れて、興がようやく乗ってきた時に、七兵衛の頭の中にポカリと穴があいて、そこからなんともたまらない悲しみの風が濛々とこみ上げてきました。

七兵衛自身でも何が今、自分をこんなに悲しいものにしたのか、ちっとも分りませんが、ひとりでに悲しくなって、悲しくなって、もうとめどなく涙がこぼれ返って来て、隠そうにも隠すことができなくなったから、ぜひなくことにかこつけてこの席を外し、そうして歓楽の室外へ一歩出て行って見ました。

どの室も早やよく取片づいていて、すべての人気というものが、あの晩餐の席へ集中されてしまっただけに、ほかの部屋のガランとした淋しさ、もうすでに主無き家という気分が、ひしひしと身に迫る