Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
二十三
二十三
郁太郎を背負うた与八が、大菩薩峠を越えたのはあれから三日目。峠の上には雪がありました。
ここには自分の建てた地蔵菩薩、その台座のあとさきに植えた撫子も雪に埋れたのを掻き起して、あたり隈なく箒をあて、持って来た香と花とを手向ける。
幼きものを御衣の、もすその中に掻き抱き給うなる大慈大悲の御前、三千世界のいずれのところか菩薩捨身の地ならざるはなし、と教えられながらも、特にこの地点が与八のためには忘れられないものにもなり、立去り難いものにもなるが、何をいうにも六千尺の峠、時は初冬、天候の程も測りがたない、背に負うた幼な児の上を思うても下りを急ぐに如かずと思い直しながら、なお立去り難いこの地点に、地蔵様をうしろにして暫く立って眺むるこし方の武州路。
ここを下れば、もうその武蔵の国の山は見納めということになるのだ、と思えば尽きせぬ名残りはあるけれど、見返ることは徒らに、無益の涙を流して愛慾の葛藤を増すばかり。
「さあ、お地蔵様、お大切にござらっしゃれませ――いつまたわしらは帰って来られるか、来られねえか、そのことはわからねえでござんすが、それでも、諸国修行のことが無事に済みました暁は、またここの地点でお目にかかりまする。