Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
と竜之助が言いました。
「いいえ、いい心持で屏風の絵を見ていましたのよ」
「何の絵が描いてあるのです」
「竹に寒椿、ほんとうにこの青い竹が、すっきりとして、その中に椿が咲いているところが何とも言われません」
「それでおとなしかったならいいが、わたしはまた、お前が何か思いつめているのではないかという気がしました」
「そんなことはございません。まあ、お入りあそばせ、おこたがよく出来ておりますから」
お雪ちゃんが立ち上って、竜之助を誘おうとする時に、もう竜之助は金屏風の中へ廻って刀を置き、お雪ちゃんと向い合せの炬燵の蒲団に手をかけていました。
「寒いね」
「高山も雪でございます、でも、たいしたことはございますまい」
「久助さんから便りがありましたか」
「いいえ、まだ、何しろ、途中が途中でございますからね」
竜之助は炬燵に添うて横になりました。頭はちょうど寒椿の葉の下になっている、そこへ肱枕で、いつもするようなうたた寝の姿勢をとりました。
お雪ちゃんは、じっとその様子をながめただけで何とも言わず、ただ深々と櫓の下に手を差込んで首を投げるばかりでありました。
竜之助もまた、それより押しては何とも言いませんでした。