Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
二十八
雪見といっても、雪は降っていないのですが、三日前、チラチラふった雪の日に、一杯飲もうと言ったのが、急の用件で延び延びになったために、今日その雪見の宴を開いて、水いらずに楽しんでいるという次第です。
そこへ、女中が取次に来ました。
「あの、いつも見えます鶴寿堂が参りました」
と、それは主人公の胡見沢に向っての注進ではなく、お部屋様のお蘭さんの顔色をうかがっての取次でした。
「政吉が来たかい、政吉ならここへお通し」
お蘭の方は、主人の同意を得ることなしに、独断でこの席への出入りを許したものです。
まもなく、女に導かれて、廊下伝いにこの席へ現われたのは、相応院のお雪ちゃんをお得意とする貸本屋鶴寿堂の若い番頭、なおくわしくいえば、白骨へイヤなおばさんが同伴して来た浅吉という男とそっくりなあれです。
番頭は敷居外にうずくまって、額が畳へ埋れるほどにお辞儀をしました。いつも御贔屓にあずかるお部屋様に対しての敬意ばかりではない、飛騨一国を預るお代官の御列席へ、特に入場を許さるる自分の待遇に恐れ入ったものと見えます。
「何ぞ面白い本が出たかえ」
と、お部屋様のお蘭が聞きました。