Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
それは尤もな怪訝で、廻って見ると怪訝が一種の恐怖に近いものになりましたのは、あけないならあけないでいいが、その一枚だけが確かにあけられてあることを発見したからです。
若い番頭――たしか、新お代官の寵者お蘭さんの言うところによると、浅吉の弟で政吉といったと覚えている。
政吉はその時に慄え上りました。
盗賊? 人殺し?
同時に、まえ言った通り、敷居の溝と沓ぬぎのあたり一面に血がこぼれているのではないかと打たれました。
だが、血はこぼれていなかったけれども、縁の下のところと、沓ぬぎとにおびただしい人の足跡がありました。
「あっ!」
と政吉が慄え上って、中を覗き込んだ縁の内側にはお雪ちゃんのさしていた、赤い塗櫛が落ちているのを認めました。
「もし、お雪様、もし……」
辛うじて呼んでみたけれども、返事がないのです。ないのがあたりまえで、返事をする者があるくらいなら、戸がポカンと口をあいているはずがないのです。
政吉は恐怖に襲われて、誰か人を呼んでみようとしたけれども、このあたりに人は無し、寺男を兼ねた夫婦の家は少し下のところにあるが、これは毎日、山仕事に行ってしまって、夕方でなければ戻らないことを政吉がよく知っている。