Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

「あの――清洲とか言いまして、ずっと遠方なんでございます」

「清洲――清洲は遠方ではありません」

お銀様にピタリと食ってしまいました。事実、清洲という名だけはお角さんも聞いて知っている。名古屋から上方への方向だということは聞いて知っているが、どのぐらいの距離があるものやら、そのことは一向知らないのです。それで御同様、旅のことであるから、お銀様もやはり御多分には洩れまい、そこで、遠方だと言ってごまかしてしまえば自然この話はうやむやに解消ができるとこう考えたものですから、そう返事をしたのが誤算でした。つまりお角は自分の知識の程度と、お銀様の知識の程度とを同一に見たことからの誤算でしたが、事実お銀様は清洲というものを知り抜いている。土地そのものとしては、未だ未踏の地だが、名に聞いているというよりも、元亀天正以来の歴史と伝記の本で暗んじきっていることを、お角さんは気がつかなかったのがおぞましい。

そこでピタリと抑えられてしまったから、もうお角さんとしては、二言を許されないのです。

しかし、遠かろうとも、近かろうとも、あの美少年が清洲にいることは事実で、そうして上方へ行く途中にはぜひ立寄ってくれ、立寄りますと言葉を番えてあることも事実なのだから、お角はお銀様にそのことを打明けて、それならば明日出立、清洲のあの方のおいで