Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
いま銀の壺をひっくり返した水の流れのあとだけが骨灰の間に青くなっている。草だ、その部分だけ草が青々と生えているのだ。
弁信は池を見ながらこう言いました、
「困ったものでございますね、あちらの谷ではいま申します通り、修羅の巷で人々が無制限に殺し合っているのでございますよ。その争いのもとはよくわかりませんが、なんに致せ、この世に人命ほど貴いものはないのでございます、いかなる大事も、人間の生命に価するほどの大事はなかろうはずでございますのに、ああして千万の人間の生命を犠牲にして、無制限な戦いをしておいでなさる。それからまた、こちらの谷では、道を得さえすれば、霧のように晴れてゆくはずの迷いが悟りきれないで、われと我が身をこの血の池に投げて、あたらの身を亡ぼしてしまうのでございます。ほんとうに困ったものではございませんか」
「左様――」
「みんな一つの増上慢心から起るのでございます――すべての罪のうちの罪、悪のうちの悪の源は、増上慢心でございます。この世に戦いより男子を救い、罪の淵から女人をなくするためには、何を措いてもまず、この目に見えぬ一切の悪の源である増上慢心を亡ぼさなければなりません――三千人の人を殺すより、一点の増上慢心の芽ばえが悪いのでございます。