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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

六十七

六十七

兵部の娘だけが出て来ないのは、船酔いということだけではないようです。

それは階下の船室に寝ていることは寝ているが、常の船酔いがするようにそんなに苦しがっていないくせに、この一室にのみ引籠って、食堂へも、甲板へも、ほとんど出て来ることはないのです。乗組の人が時々見舞には来ますけれども、それともあまり親しみを取らないようだから、自然、見舞に来る者も少なくなっていますから、ほとんど独りぽっちのようなものです。

実のところ、この娘は少し拗ね気味なのであります。最初から船酔いばかりではなく、拗ねて人並にならない原因は、どうもお松が来てから後にはじまっているようです。ことに船に乗込んでから、一層それが船酔いにからんできたもののようです。

お松のみが駒井に信用されて、自分が虐待を蒙るという次第になったというわけではないが、お松の方が、駒井の左右には最も適しているところから、兵部の娘の御機嫌が悪くなったのでありましょう。

そうして、船室に引籠ってみると、誰とてこの娘の御機嫌ばかり取ってはおられないのです。それぞれ持分もあり、仕事もある。ことに駒井などは、船長として、寝る間も油断ができない地位にいるから、このやんちゃ娘のお見舞などが御無沙汰がちになるのは無理もないことで、他の乗組とてもこの娘を邪魔物にする人は一人