Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
その逃げ迷う人波の中に、せめて久助さんの姿でも見出したいものと、河原を廻って後ろからのぞんで見ましたけれども、それらしい人を見ることができません。
ぜひなく、また河原道を、屋形船のところまで舞い戻るよりほかに為さん様がありませんでした。
この戻りにも、何といって一つ、獲物らしいものを持って来ることができない悲しさ。せめて、あのお金入の一つさえ持っていたならば、この戻りに、廻り道をしてなりと何か一品――さしあたっての一夜の凌ぎになるものを買って戻れるものを、それもできない。まして借りるところも、貸すところも――手ぶらで出でて、手ぶらで帰るよりほか、何事もできない自分を、歯痒いと思いました。
けれども、今の場合では、どうしても、そうして手ぶらで帰るよりほかに道はありません。せめて手ブラでなりと無事に帰って、人を安心させ、自分も安心して、この一夜を明かしてから、万事はその後――と、そう心を決めるほかはありませんでした。
そうして、大火の火影に照らされながら、河原道を飛んで、時には、水たまりへぐちゃりと足を入れたりなんぞして、前をながめ、後ろを顧みながら辿って行くと、草むらの中に、ひときわ白いもののあるのが眼につきました。