Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
一つの窓から眼を覗かせ廊下を見ていた若者は、こう云ってちょっと溜息をした。
「まあ気の毒に半裸体だよ。ボロボロに破れた法衣の下から綺麗な肌が透けているよ。若い身空で可哀そうに」こう云ったのは女の声で、声の主は涙ぐんだ眼を、もう一つの窓から覗かせている。
「いい気味だ。神罰だ。もっとピシピシ撲られるがいい!」突然詈る声がした。若者の部屋と軒を並べたもう一つの部屋の窓の中から、その罵声は聞こえるのである。「仏が何んだ、仏教が何んだ。要するに夷狄の宗教じゃないか。日本には日本の宗教がある。神ながらの神道じゃ! 我輩の奉ずる古神道じゃ!」――それは白髯の老人であった。どうやらそれは禰宜らしい。
「そうともそうとも、その通りだ。きゃつみっしり撲られるがいい。神道ばかりか孔孟の教えをも、あの女は詈っている」こう合槌を打ったのはその並びの部屋の主で、これは無髯の老人であった。
威圧するような厳しい声で、また尼は叫び出した。
「……おお神道は宗教ではない。憐れむべき清潔法だ。孔孟の教えは経済だ。共に人心を導くに足りぬ! 因果経よ、涅槃経よ、仏教こそは讃美べきかな。……恥ずべきは人の世だ。