Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
箏の調べは絶えるがように次第次第に低くなった。
「さあそれが最後の調べだ。男はこの時窓を越え、あの隣り部屋へ入り込んでいる筈だ。そうだ、お前の寝部屋へな!」
この時、正面の寝部屋から、断末魔の悲鳴が聞こえて来た。
水泡は箏の手を止める。
間の襖が向こうから開き、一人の大男が現われた。手に大鉈を持っている。刃先から鮮血が滴っている。その血の滴った床の上に一人の男が転がっている。胸を刳られて死んでいるのだ。
「おっ」と水泡は声を上げた。立ち上がろうとするのではあるが足が云うことを聞かないらしい。膝と両手で這い寄るや、ひしと死骸を抱き締めた。
「草色の水干を着ている筈だ」城主は無表情に冷やかに、「胸に罌粟の花を差している筈だ。それはお前の恋人だ」
「式部様! 式部様!」水泡は夢中で呼ばわった。
「お前の弾く音に誘われて、可哀そうな男はやって来たのだ。手を下したのは万兵衛だ。殺させたのはこの俺だ。しかしお前にも罪がある。お前の罪が一番重い。男を死地へ引き寄せたのだからな」
水泡はやにわに飛び上がった。城主目掛けて掴みかかる。その手が城主へ触れたとたん、城主の冠っている中将の仮面を片手で素早く持ち上げた。