Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
金鎚で前歯を砕くらしい。
「耳の形のふくよかなことは。これは水耳と申します。木耳にしなければなりますまい。六親を失い財帛不足孤苦無援の木耳にね」
ジョキジョキ不気味の音がした。肉を削いでいるらしい。
とまた月子の声がした。
「さて次は奴僕宮、――頤を変えなければなりません。よい頤でございますこと。方潤豊満でございますこと。……これを楔形に致しましょう。そうして乱文斜文をつくり、暗濁昏瞑に致しましょう。……四壁全く定まらず、眷族惨害の兇相に」
象牙の箆ででも擦るような、滑らかな音が聞こえて来た。
しばらく岩窟は静かであった。時々帳の揺らぐのは、月子が隣室で歩くからであろう。
源之丞はいつまでも動かなかった。肩と背へ龕の光を浴び、岩壁の裾へ蹲まっていた。
またも月子の声がした。
「声音も変えなければいけますまい。……木声は高く清らかく、火声は焦れて潤いなく、土声は重く且つ沈み、金声は響鐘の如く、水声は円く滞りなく、これを五音と申します。……声あれども響きなきは、吉もなければ凶もなく、声丹田より出る時は、上相声と申します。また舌端から出る時は、下賤破敗と申します。