Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
「心がお顔に現われます。恐怖のお顔を造ろうとなら、努めて恐怖のお心持ちを、お持ちにならなければいけません。……妾がお話し致しましょう。恐ろしい恐ろしい物語を。……」
ここでしばらく声が絶えた。
物語を考えているらしい。
どんな話をするのだろう?
恐怖に追われ駈けられている、伴源之丞のような人間を、さらに一層の恐怖の淵へ、落とし入れるような物語が、いったいこの世にあるだろうか?
と、月子の声がした。
「富士の裾野の三合目に、一人の剽盗がございます。字名を陶器師と申します。大きな陶器の竈を作り、毎日陶器を造っております。いえいえ陶器ではございません。裾野を通る旅人を竈へ入れて蒸すのです。……殺人が好きでございます。一つの口癖がございます。男を殺すと『姦夫』と叫び、女を殺すと『姦婦』と叫ぶ。これが口癖でございます。……本名は何んと申すやら、妾は一向存じません。元の身分が何んだやら、それも妾は存じません。……だがその人の目的は、女敵討ちだと申します」
源之丞の呻く声がした。
「おおおおどうやらあなたのお心へ、恐怖が湧いたようでございますね。お顔の上へ現われました。