Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
四
老人の額には蟇の形をした、大きな痣が印されてあり、老婆の眼瞼には指先ほどの、大きな黒子が附いていた。二人ながら旅姿で、城下の者とは思われなかった。
チラリと陶器師は二人を見た。だがそのまま擦れ違った。彼は殺人に飽きていた。刀を抜くさえ大儀なのであった。
四
一間余り行違った時、ふと陶器師は振り返った。
「む」と彼は呻き声を上げた。「ああ酷似だ! 後ろ姿!」
刀の柄へ手を掛けた。足音を忍ばせスルスルと、二人の背後へ追い逼った。
身に逼る殺気を感じたのであろう、二人の男女は振り返った。焚火の光にぼんやり照らされ、闇に浮き出た二人の顔は、源之丞でもなければ園女でもなく、百歳を過ごした尉と姥の、醜い恐ろしい相好であった。
「何んだこれは! 似ても似つかない!」
刀の柄から手を放し、陶器師は呆然と佇んだ。
闇に消えようとする老人老婆の、背後姿を見送ると、またも陶器師は首を傾げ、考えざるを得なかった。
「間違いはない! あいつらだ!」
老人老婆の後を尾行け、陶器師はフラフラと歩いて行った。
広い空地を中に隔て、伝奏屋敷の北方に、武田左典厩の宏大な屋敷が、夜空を抜いて聳えていた。