Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「出たぞ!」

「出たらしい」

「火柱大明神!」

足軽達は囁き合い、一層足を鈍らせた。

五

神明の社の手前までその一団が来た時であった。行手にあたって煌々と、火の柱が燃え上がった。

「ワーッ」と彼らは声を上げた。バラバラと幾人かが後へ逃げ、幾人かが横へツッ走った。だが十二三人の足軽は、一列に並んで折り敷いた。

ド、ド、ド、ドン――と鉄砲が放された。

すぐにド、ド、ド、ド、――と反響が起こり、その反響が止んだ時一時に城下がひっそりとなった。

何んの変ったこともない。依然として火柱は立っていた。標的を外して撃った弾丸が、火柱の主に中る筈がない。

「尾行いて来るようでございます。……気味の悪い男が……私達の後から……」

「俺は何んだか恐ろしくなった。……早く歩こう……まかなければならない」

跡部大炊の屋敷を過ぎ、今沢石見の家の前を通り、小幡、下条、栗原、長坂、屋敷屋敷の門の前を、老人と老婆は足早に、南へ向かって歩いて行った。

時々振り返って背後を見ると、ボッと黒い人影が、二間の彼方から足音を忍ばせ、どこまでも執念く追って来た。

大熊備前の屋敷の前、伝奏屋敷の南側に、一筋の小路が通っていた。