Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
四
「捨てられたとき着ていたという、白羽二重の産衣は?」
平次にとっては、これが最後の手掛りでした。
「その後は見たこともありません、多分――」
お北は涙を押えて、淋しく頬を歪めました。何もかも酒に代える癖のあった伊之助が、たぶん売るか流すかしたことでしょう。
「こうなると五年の月日は短いようで長いな、証拠らしいものは一つも残らない」
四
その日のうちに、鼻の良い八五郎は、伊之助の家を中心に、十町四方の匂いを嗅ぎ廻りました。お北の様子を見ていると、こうでもしてやらずにはいられなかったのです。
「親分、――いいことを聞出しました」
「何だい」
八五郎が神田へ帰ったのは、もう夕暮れでした。
「伊之助があの晩家から出るとすぐ、近所の居酒屋へ飛込んで、一杯引っかけながら、これから金儲けに行くんだ――って言ったそうですよ」
「博奕じゃあるまいな」
「酒は好きだが、勝負事は嫌いだったそうで、たぶん大きな仕事でも請負って、手金が入る話だろう、って居酒屋の爺は言ってましたが」
「仕事の請負に、迷子札を持出す奴はないよ。八、こいつは面白くなって来たぜ」
「ヘエ」
八五郎は無関心ですが、平次の態度は急に活気づいて来ました。