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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

何という犠牲的な愛情でしょう。平次は黙って涙を拭いました。自分の余命と芸術を、不肖の倅に捧げ尽して惜しまなかった、初代勘兵衛の欺瞞は、何はともあれ、一応は許さなければならない種類のものだったのです。

「昨年いっぱいかかって、世にも人にも秘めて造った普賢菩薩――あれは私の一代にも二つとない出来でございました。粉本には勿体ないが、嫁のお倉を使って、素木のまま死んだ女房の供養に、菩提寺に納めるつもりでしたが、フトした手違いから、雲龍斎又六に横取りされたのでございます」

「やはりそうか」

「又六は倅の銘を削った上、神々しい素木の仏像へ、見世物向きに、あんな下品な彩色をしてしまいました。――その上、自分の下手な地獄極楽の活人形と並べて、両国の小屋へ飾ったのですから、倅が腹を立てたのも無理はありません。その上、嫁のお倉は永年の貧苦に愛想を尽かして飛出し、人もあろうに又六を頼って、両国の小屋の木戸番にまでなり下がりました」

「…………」

「後で、――あの普賢菩薩を奪られたのは嫁のお倉の手落ちだったので、それを奪い返したさに、それが出来なければ、せめて他所ながら守護するつもりだったと解り、一度嫁を怨んだのは相済まぬことと思いましたが、家出した当時は、打ち殺してもしまいたいほど腹を立てたものでございます」