Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
二
「そうかい、そいつは知らなかった。お政の顔を見ながら間の抜けた小唄なんか唸って、実は大望があったわけだね。いや、恐れ入ったよ、八」
「親分、まだ、そんな事を」
「だから、その大望を聞こうじゃないか。江戸二人師匠と言われた小唄お政が、命にかかわるほど思い詰めたなら、さぞ口舌にも節が付くだろう」
平次はまだ本気にはなり切っていない様子です。
「だがね親分、お政が二度も殺されかけているんですぜ」
「何だと?」
話はそれでも、次第に軌道に乗って行きます。
二
その頃は隆達小唄や、平九節小唄の勃興期で、江戸にも漸く名人と言われた、女師匠が現われるようになっていました。
山谷のお寿と、馬道のお政は、その中でも有名で、どららも若く、どちらも美しく、芸妓、素人の隔てなく、男弟子も、女弟子も取って、多勢の狼連と、少数の有力な旦那衆に取巻かれ、少なくとも表面だけは、派手で陽気で、この上もなく結構な暮しをしているのでした。
二人の間には、自然に競争が起りました。同じ芸道にいそしむ仲で、他所眼には、至極打ち解けて見えましたが、腹の中では鎬を削り合って、一人でも弟子を多くし、少しでも評判をよくしようといった、両雄並び立たぬ心持でいたに相違ありません。