Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
その時、曲者の姿を、朧気ながら見てしまった女隠居は、危うく殺されるところでしたが、曲者は暁近い外面の人通りに驚いて逃出し、すでに刃を喉笛に擬せられた女隠居は、危ういところで命を助かったのでした。
平次とガラッ八が、朝のうちに駆け付けて、まだ驚きと怖れから癒り切らぬ女隠居の口から、一生懸命訊き出したことは言うまでもありません。
女隠居は、六十前後、かつては日本橋あたりの大店の主人の囲い者だったそうで、下女一人を使って、つつましく暮しておりました。
昨夜はちょうど下女を葛西の在所に帰して、たった一人淋しく暮していると、夜中過ぎに、天窓をコジあけて、覆面の大男が入って来たというのです。
「大男――? それは本当かい」
「ヘエ、大きな男でございましたよ。頭巾を冠ったままで、よくは解りませんが、声の様子ではまだ若そうで」
「下女は長く奉公しているのかい」
「五六年も居りますよ。大の忠義者で、まだ三十そこそこでしょう。一度縁付いたそうですが、不縁になって私のところへ参り、もう一生動かないといっているくらいで、ヘエ」
「葛西の在から、使いでも来たんだろうな」
「口上で、――母親が加減が悪いから一と晩泊りでも来るようにと、百姓衆が言って来ました」