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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme

Aozora Bunko

「下女の知っている人かい」

「いえ、村の人じゃない――と言いました」

こんな事は、いつまで訊ねていても際限もありません。いずれは偽使いに決っているようなものです。

「昨夜の事を、もう一度詳しく話して貰おうか」

平次は女隠居の言葉を、くり返して検討するつもりでしょう。

「子刻(十二時)が鳴ってから寝付きましたから、丑刻(二時)近かったかも知れません。変な音がして眼が覚めると有明の行灯の前に、真っ黒な男が立っているじゃありませんか」

「確かに男だね」

「それはもう親分さん、――飛起きて声を立てようとすると襟頸を押えて枕に仰向けに押付けられ、喉笛を脇差でピタピタと叩くじゃありませんか」

その時の事を思い出したか、女隠居はゾッと身を顫わせました。

「何にも物を言わなかったのか」

「――金を出せ――ただそれだけです。何にも言いません。それっきり黙りこくって、四半刻(三十分)もジッとしているんですもの、命より惜しい虎の子だって隠し切れるものじゃありません」

奪い取られた百二十両の惜しさが、身に滲みたものか、女隠居はこの時はじめてポロポロと涙をこぼしました。

「声は?」

「低い声で、――聞いたことのあるような、ないような――」