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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme

Aozora Bunko

「――何? 娘をやる約束はしなかった? 馬鹿も休み休み言えッ、〈返済相成兼候節は如何なる物を御取上げ候共異存無之〉と其方の判を捺した証文が入っているぞ。その娘はかねがね拙者所望の品だ。六百五十両の代りに貰って行くのが、誘拐同様とは何という言い草だ」

「…………」

「金は沢屋が貸したに相違ないが、その月のうちに証文はこの大川原五左衛門が買い取ってある、――さあ娘を渡して貰おうかい」

五左衛門の釘抜きのような腕はグイと伸びました。

「あれ――ッ」

見ると父親常右衛門の袖の下に隠れた娘のお関は、五左衛門の手に従って、ズルズルと引出されました。

十八娘の美しさが、恐怖と激情に薫蒸して、店中に匂うような艶かしさ。鹿の子絞の帯も、緋縮緬の襦袢も乱れて、中年男のセピア色の腕にムズと抱えられます。

「お願いでございます。大川原様、それではお嬢様が可哀想――」

飛び付くように若い手代、五左衛門の腕に犇とすがります。二十三四の久松型で、主人の娘の危急に取りのぼせたのでしょう。

「何が可哀想、――娘は嬉し泣きに泣いているではないか」

パッと払った手に弾かれて、手代は物の見事に土間に尻餅をつきました。