Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
「あら、誰がそんな事を申しました」
「まアいい、それじゃ用心するがいいぜ」
平次は漸く上がり框から滑り落ると、サッと格子の外へ飛び出してしまいました。
「あれ親分、待って下さい」
赤い、焔のような女は路地の前まで追っ駆けて来ました。
「弱ったなア、お勢さん」
「いえ、もう決して無理は申しません。その代りに、一生のお願い、私を横網まで送っては下さいませんか」
女は平次の袖に縋り付いて息をはずませます。
「横網へ行ってどうするんだ」
「女一人で、どう我慢しても、この家では一と晩とは過されません。横網の指物師で藤次郎というのは、私の知合いですから、あすこまで送っては下さいませんか」
「それくらいの事なら出来るだろう」
「まア、有難い、それじゃちょいと待って下さいまし。火の用心をして戸締りをして来ますから」
お勢は引返しましたが、間もなく出て来ると、平次と肩を並べて、月のない街を、横網の方へ――妙にそわそわしながら辿りました。
「ここでございますよ、親分」
とある格子、深々と締切った前に立って、お勢は平次の耳に囁きました。
「それじゃ、俺は帰ろう」
「済みませんが親分、ちょいと声を掛けて下さいませんか、藤次郎親方とは長い間の知合いですが、気まずい事があって、近頃は往来もいたしません、私がいきなり顔を出したんでは、また何とか厭なことを