Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
さま/″\の限を尽す。世田ヶ谷のボロ市を観て悟らねばならぬ、世に無用のものは無い、而して悲観は単に高慢であることを。
ボロ市過ぎて、冬至もやがてあとになり、行く/\年も暮になる。蛇は穴に入り人は家に籠って、霜枯の武蔵野は、静かな昼にはさながら白日の夢に定に入る。寂しそうな烏が、此樫の村から田圃を唖々と鳴きながら彼欅の村へと渡る。稀には何処から迷い込んだか洋服ゲートルの猟者が銃先に鴫や鵯のけたゝましく鳴いて飛び立つこともあるが、また直ぐともとの寂しさに返える。凩の吹く夜は、海の様な響が武蔵野に起って、人の心を遠く遠く誘うて行く。但東京の屋敷に頼まれて餅を搗く家や、小使取りに餅舂きに東京に出る若者はあっても、村其ものには何処に師走の忙しさも無い。二十五日、二十八日、晦日、大晦日、都の年の瀬は日一日と断崖に近づいて行く。三里東の東京には、二百万の人の海、嘸さま/″\の波も立とう。日頃眺むる東京の煙も、此四五日は大息吐息の息巻荒くる様に見える。然し此処は田舎である。都の師走は、田舎の霜月。冬枯の寂しい武蔵野は、復活の春を約して、麦が今二寸に伸びて居る。気に入りの息子を月の初に兵隊にとられて、寂しい心の辰爺さんは、冬至が過ぎれば日が畳の目一つずつ永くなる、冬のあとには春が来る、と云う信仰の下に、時々竹箆で鍬の刃に