Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
ポトリ肩をうつ。脳天まで冷やりとする。またぽとり。ぽと/\ぽと/\。其たびに肩や腹や背が冷やり/\とする。好い気もちだ。然しまだ夕立の先手で、手痛くはやって来ぬ。
「此れをかぶっていらっしゃいな」
と云って、妻は硝子の大きな盂を持て来た。硝子は電気を絶縁する、雷よけのまじないにかぶれと謂うのだ。諾と受取って、いきなり頭にかぶった。黒眼鏡をかけた毛だらけの裸男が、硝子鉢を冠って、直立不動の姿勢をとったところは、新式の河童だ。不図思いついて、彼は頭上の硝子盂を上向けにし、両手で支えて立った。一つ二つと三十ばかり数うると、取り下ろして、ぐっと一気に飲み乾した。やわらかな天水である。二たび三たび興に乗じて此大觴を重ねた。
「もう上っていらっしゃいよ」
妻児が呼ぶ頃は、夕立の中軍まさに殺到して、四囲は真白い闇になった。電がピカリとする。雷が頭上で鳴る。ざあざあっと落ち来る太い雨に身の内撲たれぬ処もなく、ぐっと息が詰まる。驟雨浴もこれまでと、彼は滝の如く迸る樋口の水に足を洗わして、身震いして縁に飛び上った。
上ると土砂降りになった。庭の平たい甕の水を雨が乱れ撲って、無数の魚児のする様に跳ね上って居たが、其れさえ最早見えなくなった。